2023/12/23

H/V/LHCP/RHCP切り替え器を作っている件 その3

PM84il のヒト: H/V/LHCP/RHCP切り替え器を作っている件 その2 の続き。

発注から1週間ほど、注文していた基板が来ました🤩🤩🤩

サイズは168 x 86 mmです。10枚発注。
未来工業のウオルボックスに縦に入ります。

リレーを付けたところ。1.27 mmピッチです。
スペック上は2.5 GHzで50 W通せるそうです。

通過特性の測定中。

終端してVSWRを測定。
VSWRは約1.2で、70.71 Ωのストリップラインで作った分配回路はうまく動作しました。

 
通過特性は次の通りでした。
     RL1/2          RL3/4          TRX - A 間          TRX - B 間     
OFFOFF-3.53 dB-3.67 dB
OFFON-3.29 dB-3.98 dB
ONOFF-3.28 dB-3.96 dB
ONON-3.07 dB-4.34 dB

TRXから入れた電力を100%とすると、次の通りです。
     RL1/2          RL3/4          TRX - A 間          TRX - B 間     
OFFOFF44%43%
OFFON47%40%
ONOFF47%40%
ONON49%37%


全体としての通過損失は次の通りで、リレーの通過損失 + 伝送線路の通過損失 で0.53 dBと見込んでいましたので、ほぼ設計通りの結果になりました。
     RL1/2          RL3/4          TRX - A/B 間     
OFFOFF-0.59 dB
OFFON-0.61 dB
ONOFF-0.60 dB
ONON-0.65 dB

電力通過のチェックをしました。IC-9700から徐々にパワーを増加していき、50 Wで1分間の電力通過を行いました。分配部分のパターンが1.6 mm幅なので多少発熱しますが、室温15度Cの環境で、感覚的には45度Cぐらいだと思います。リレーの発熱はほぼ感じませんでした。

炎天下で周囲が50度Cの環境としても80度Cと予測できますので問題はなさそうで安心しました。それに、まずアンテナ直下まで50 Wは届きませんので十分余裕です。

Antenna A/Bでインピーダンスの偏りがある場合、電力分配部分の発熱状況が異なる場合があります。


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基板のみ欲しい方はご連絡ください。1枚1,000円 + 送料です。

1.27 mmピッチのはんだ付けができる方は、以下の物を揃えていただければ組立できます。

  • HF3リレー x 4個 (詳細は以下参照*)
  • BNCレセプタクル x 3個 (モノタロウ 546-4027)
    (秋月 C-02296 も適合します。電気長的には短いので影響はないと思いますが、インシュレーターの径の見た目が75 Ωのが来ました。)
  • ターミナルブロック x 1個 (モノタロウ 08595081 や、秋月 P-01310 など)
  • 適当な整流用ダイオード x 2個


* リレーは DDEController (te.com) が適合します。RSコンポーネンツやモノタロウで入手できます。いろいろなサイトで探しましたが、今は3 V12 Vの物が一番安く手に入ります。(eBayで格安のが売ってましたが、怖くて買えません。)

50 Ω の Monostable を入手してください。型番で言うと以下のいずれかになります。

  • HF3 51 (コイル3 V) 1462051-1 → 最安? モノタロウで1,490円 @ 1個
  • HF3 52 (4.5 V) 1-1462051-6
  • HF3 53 (5 V) 1462051-2
  • HF3 54 (6 V) 1-1462051-7
  • HF3 55 (9 V) 1462051-3
  • HF3 56 (12 V) 1462051-4 → 最安 チップワンストップで1,287円 @ 1個
  • HF3 57 (24 V) 1462051-5


組み立て済みが欲しい方はご相談ください。

1.27 mmピッチのはんだ付けをする必要がありますので、ご希望に応じて組み立てます。

基板代(1,000円) + 部品代(リレーの価格次第で変動あり) + 組立代(1,000円) + 送料


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他は Part_2_AMSATJournal_MayJun07_I8CVS_Polarization.pdf をご覧ください。

全体的なシステムとして成功させるのに注目すべき点は以下だと思います。(Fig. 1)

  • Antenna A に接続するフィーダーX2は、BのフィーダーX1より1/4波長だけ長いこと
  • Antenna A/B の給電点の極性 (A/A', B/B' とフィーダーの接続点に注目)
  • Antenna A/B の物理間隔
  • アンテナは + でなく、X で設置する (地上通信用で垂直偏波にするため)


(2023/12/24 追記)

  • Antenna A/Bにインピーダンスの偏りがある場合のコメントを文中に追記
  • BNCレセプタクルについて文中に追記
  • 組み立てご希望について追記
  • 基板10枚在庫なくなりましたので、追加製造中です
  • リレーの納品が遅れています
  • 435 MHz帯専用です


(2023/12/25 追記)

  • HF3 56 (12 V) 10個以上注文で最安の入手先が見つかりました。
  • 基板を20枚追加発注しました。(パターン小変更有)


2023/12/12

H/V/LHCP/RHCP切り替え器を作っている件 その2

PM84il のヒト: H/V/LHCP/RHCP切り替え器を作っている件 その1 の続き


埼玉に出張に行ったので帰りにオヤイデで75 Ωのテフロン同軸を買おうと思いましたが、秋葉原に寄るのが面倒くさくなってそのまま帰宅。

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今まで気づいてなかったのですが、Qマッチは75 Ωで作っても、正確には50 Ωの分配じゃないと。計算してみると、70.71 Ωの伝送線路で作るが理想のようです。でもそんな同軸は無いです。

いろいろ考えているうちに、マイクロストリップラインで構成したらインピーダンスは自由に設計できることに気づきました。


便利なページがありました。

マイクロ・ストリップ・ライン の設計 MstripCalc (ruru.ne.jp)

パラメーターは次の通り。

  • 基板厚さ 1.6 mm
  • 銅箔厚さ 35 um
  • 比誘電率 4.5
  • 435 MHz


50 Ω λ/4 の計算例: ライン幅2.98 mm、長さ92.85 mm

70.71 Ω λ/4 の計算例: ライン幅1.59 mm、長さ95.19 mm


それぞれロスはどうなるのかと気になり、また別のサイトを見つけました。


435 MHz 50 Ω λ/2の長さで、S21 = -0.209 dB

435 MHz 70.71 Ω λ/4の長さで、S21 = -0.115 dB

同軸ケーブルのQマッチで作るのと同じか、接続のことを考えるとストリップラインで作るのが良さそうに思えて基板を作ることにしました。

PCBEで作りました。
この設定でガーバーを出力してJLCPCBに発注。

ガーバービューアーで見るとかっこいい。

こちら、はんだ面。


リレーは、TE connectivity (Tyco)のHF3を使用する予定です。

コイル電圧12 Vのリレーが都合が良いのですが、monotaroで3 V品が1,500円 / 個と、どこよりも安く購入できるようなので発注。

基板は、仰角ローター直下のマストに設置したウオルボックスに入れる予定です。シャックの偏波切り替えスイッチと、タワートップの基板を接続をするのに、0.75 mm^2の25 mの電線を使用すると、リレー4回路分の電流で往復50 mの長さで電圧降下が0.3 Vぐらいになるようです。電圧降下はそんなに気にするレベルではないようです。


基板の送料をケチったので、到着するのは2週間ぐらい先になりそうです。
到着するまで少し待ちです。

10枚注文しましたので、「うまくいったら」お分けできると思います。


KASHIWA 受信報告 その2

PM84il のヒト: KASHIWA 受信報告  の続き。 今日から秋祭りの準備🤣で出かけてて、ひとつ前のパスは逃しました。 JE3HCZさんがTLMをSatNOGSに送り込むことができたというXの投稿を見て、12時前のパスで受信してみました。 まず、AOSからいきなりS9の...